葬儀や法要の際に必要となる御香典。
しかし、御香典を用意するために不祝儀袋を購入しようと店に立ち寄ると御香典・御霊前・御仏前など種類があって、どれを使えばいいか迷ってしまうこともしばしば…。
今回は御香典 御霊前 御仏前の違いをご紹介していきます。
御香典と御霊前と御仏前の違いは?
御香典、御霊前、御仏前と3種類あるわけですが、これらはそれぞれに異なった意味が込められています。
御香典
香は線香を意味します。典はお供え物を意味します。
つまり御香典とは、お花や線香の代わりに個人へ金品をお供えするものであり、表書きのひとつとして用いられます。
御霊前
故人の御霊の前、もしくは御礼に供える金品のことを表しており、香典の表書きのひとつとして用いられます。
御仏前
故人が成仏した仏様の前、もしくは、御仏に供える金品のことを表しており、表書きのひとつとして用いられます。
以上のようにそれぞれ意味がありますが、大きなくくりとしてはお供え物として考えることができます。
通常「御香典」というと、御霊前や御仏前を含むお供え物のことを指します。
つまり、葬儀に参列する際の金品は、御香典にあたるのです。
しかし、宗教や宗派によって故人や霊に対する考え方が異なるため、御霊前と御仏前を表書きとして使い分けているのです。
宗教や宗派による違い
仏教
仏教の場合一般的には亡くなった人は霊になり、忌明け以降(四十九日法要を終える)は成仏し極楽浄土に向かうと考えられています。
つまり、四十九日を過ぎる前は個人は霊の状態であり、四十九日を過ぎると仏様になると考えらているということです。
この考え方に従って、四十九日前に行われる葬儀では御霊前を使い、四十九日法要を過ぎた後は御仏前を使うのです。
ただし、真宗(真宗や浄土真宗など)の場合は、四十九日法要の前でも御霊前は使わずに、御仏前を使います。
これは真宗には人は亡くなったら霊になるという考え方がなく、人は亡くなったらすぐに浄土に還り成仏すると考えられているからなのです。
神道
神道の場合は亡くなった人は御霊となり、霊璽に移り神になると考えらています。
そのため、表書きにはここまででは紹介していない御神前・御玉串料・御榊料が使われます。
この他に仏教でも使われている御霊前も使うことができます。
また、神道では仏になるという考え方は存在しないため御仏前を使うことはありません。
キリスト教
キリスト教の場合は亡くなった人は霊魂となり、神に召されると考えられています。
そのため、カトリックであれば「御ミサ料」プロテスタントであれば「お花料」が使われますが神道と同じように御霊前も使うことができます。
また、キリスト教では仏になるという考え方は存在しないため御仏前を使うことはありません。
それぞれの宗教や宗派によって、このように御霊前、御仏前、その他の表書きが使い分けられています。
宗派が分からない場合
ただし、場合によっては先方の宗派が分からない、確認できないという場合もあるでしょう。
こうした仏教であることは分かるけど、宗派が分からないという場合には、すべての宗派で使える御香典を表書きとして使うことができます。
四十九日法要は御霊前と御仏前どちらが正しいの?
仏教では亡くなった方は霊になり7日ごと7週間に渡って、生前の功徳への裁きが行われると考えられています。
そしてこの裁きが終わると、亡くなった方の霊は仏様になるのです。
7日ごと7週間=49日
このことから四十九日法要が行われています。
この四十九日法要の際に用いる不祝儀袋の表書きは御仏前になります。
なぜなら、この四十九日法要の時点で亡くなった方の霊は仏様へと姿を変えるからです。
ただし、四十九日法要が必ず亡くなってから49日後に行われるわけではありません。
亡くなってから数えて四十九日法要にあたる日が平日などの場合は、仕事などの都合上参列ができない方が多いこともあるため、49日を過ぎる直前の土曜や日曜日などに行われることがあります。
このように法要が49日より前に行われる場合でも、一般的に不祝儀袋の表書きは御仏前となります。
また、上でも紹介したように真宗の場合は、亡くなった方は霊にはならず、すぐに浄土に還り成仏すると考えられています。
そのため真宗の場合でも四十九日法要が行われることがあるのですが、この際も表書きは御仏前で構いません。
つまり真宗の場合は、葬儀の際に用いる不祝儀袋、四十九日法要の際に用いる不祝儀袋、どちらも表書きは御仏前で良いということになります。
三十五日法要の場合は?四十九日法要と何が違うの?
四十九日法要が行われることは有名ですが、場合によっては35日法要が行われることもあります。
三十五日法要を行うか、四十九日法要を行うかは、地域や宗派によって異なってきます。
三十五日法要の場合の不祝儀袋の表書きは、御霊前か御仏前のどちらかになります。
真宗の場合は、亡くなった方は霊にならず、すぐに浄土に還り成仏すると考えられているので三十五日法要でも御仏前を使います。
それ以外の仏教の宗派の場合は、亡くなった方は四十九日を迎えると霊から仏になると考えられています。
つまり三十五日法要の時点では、まだ四十九日を迎えておらず霊の状態だということで、御霊前を表書きとして使います。
四十九日の三月越しとは
これは、一説には四十九(始終九)と三月(身付き)から、「しじゅうくがみにつく」という語呂あわせから、三月越ししてはいけないと言われています。
たとえば亡くなった日が月の後半、3月20であれば5月7日が49日目になります。このように三ヶ月間にまたがることを三月越し(みつきごし)といいます。
このようなことから地域によっては、三月越しになる場合には三十五日を忌明けとするところががあるそうです。また、女性の場合も三十五日を忌明けとする地域があるそうです。
しかし、月の後半に亡くなられた場合には、すべて三月越しになってしまいます。
この四十九日の三月越しについては様々な説がありますので、わからないときは地域の方にお尋ねするのが良いと思います。
まとめ
このように香典や法要の際の表書きは宗教や宗派によって変わってきます。
ここで紹介したのは一般的な例です。
住んでいる地域などによっても、表書きの書き方など変わってくる場合もあります。
事前に確認できるのであれば、地域や宗派にあった表書きを用意するようにしましょう。