病気や障害のなかには、世間に正しく理解されていないものが少なくありません。
たとえばうつ病は甘えている、怠けているなどと誤解されがちです。
アスペルガー症候群も理解が得られにくいものの一つで、
協調性がない、やる気がない、ふざけている、親の育て方が悪い
などと思われがちです。
ここではアスペルガー症候群の特徴、子供に起こる症状や、子供との接し方についてまとめていますので、この障害に対して理解を深めるだけでなく、考える際の一助となれば幸いです。
アスペルガー症候群の特徴は?
発達障害に含まれる自閉症スペクトラム(ASD)の一種がアスペルガー症候群です。
知的障害は認められないものの、コミュニケーションや興味に極端なかたよりがあるため、日常生活にさまざまな支障をきたしてしまいます。
先天性(生まれながらにして起こっている)のものと考えられている障害ですが、
コミュニケーションをとることが可能になったり、
物事に対し興味を示すようになったりしてからのため、2~3歳ごろになることが多く、
人によっては思春期の時期になってはじめてわかったり、
成人後にわかったりするケースもあります。
なぜアスペルガー症候群になってしまうのか、
はっきりとした原因がわかるところまではまだきていない状態です。
また、アスペルガー症候群自体に直接効果を発揮する治療薬は存在しません。
子供の症状について
●ほかの子供と遊ぶことが少なく、一人遊びをしている割合が高い。
●いわゆるごっこ遊び、ふり遊びをしない。
●太っている人に対し太っていると、相手を傷つけるような「本当のこと」まで平気でいう(本人にはまったく悪意がない)。
●本当のことを話す特徴があるため、人の秘密をバラしてしまい、悪意はないものの裏切り行為をしてしまう。
●同じ歳の子供と関わることが不得意で、年上の子供にリードされたり、年下の子供に命令をしたりして遊ぶことが多い。
●遊んでいる相手が自分の思い通りに動かないとかんしゃくを起こしたり、自分一人で遊ぶようになったりする。
●羞恥心を感じるのが遅く、好きな異性に対し人前で大声で告白するようなことがある。
●自分が興味や関心をもっている物事の話題を、相手の興味や関心のあるなしに関係なく一方的に喋る。
●まわりくどい話し方をしたり、難しい言葉、その場に相応しくない極端な丁寧語または乱暴な言葉を使ったりする。
●文法的に誤りのある喋り方をすることがある。
●考えていることが声に出て独り言が多くなったり、相手にいわれたことをそのまま口に出したうえで喋り返したりする。
●喋るときの体を使ったジェスチャーがなく、言葉だけでコミュニケーションをとる。
●相手が迷惑に思うようなことでも質問する。
●相手にいわれたことをいわれたままに受け止める。
●会話のキャッチボールが苦手で話が続かない。
●さまざまなものを収集したがる。
●計画を立てたとおりに複数のことを続けておこなうのが苦手。
●何かに集中しだすと話しかけても気が付かないなど、ほかのことに対する注意が向かなくなる。
●極端に痛みを恐れたり、まったく気にかけなかったりする。
●雨が降っているのに窓を開けるなど、行動パターンが決まっている。
●極端に真面目で融通がきかない。
●みみずのはったような文字を書く。
●工作などの細かい作業が不得意。
●三輪車のペダルをうまくこげない、箸を正しく使えないなど運動が不得意。
●ちょっとした物音でも気にしたり、特定の肌ざわりの衣類しか身に着けられなかったり、抱かれるなど触られたりすることを極端に嫌がったりといった具合に、感覚が過敏になっている。
子供への接し方について
まず、怒らず穏やかに、冷静に接することが大切です。
大声を張り上げて怒ったところで、逆効果にしかなりません。
できないことを無理強いするのもやめましょう。
また、融通がきかないのがアスペルガー症候群の特徴であるため、
あらかじめスケジュールをはっきりと伝えることが大切です。
話をするだけでなく文字、とくに子供が年少である場合は絵・写真(画像)を
使って予定されていることを知らせましょう。
このほか、言葉の裏を読み取ることができないため、ルールなど伝えたいことがある場合、
何かしてほしいことがある場合の指示は曖昧(あいまい)なところをなくします。
また、場に無関係なことを喋りたがったり質問してきたりする場合には、
無理なものは無理、○分だけ認める、いつ・どこでであれば認める
といった具合に明確に伝えてあげることが大切です。
そして、ネガティブなことをアスペルガー症候群の子供にいったり、
したりするのはやめましょう。
落ち込んだり、自信を失わせたりする原因になるため、悪い面に目を向けるのではなく良い面に目を向け、肯定的な言動をするよう意識することが大切です。
まとめ
もしも少しでも「あれ?」と思うようになった場合には、相談先に行ってみることをおすすめします。
医療機関であれば児童精神科、小児神経科に、別のところだと児童相談所、教育相談所、保健所、療養センター、自閉症親の会などが挙げられます。